研修について of ECCM2010

はじめに

研修の概要

kougi1.jpgGeneralistとして,Specialistとして

 本学救急集中治療医学講座は,本院における1次および2次応需救急症例のPrimary Careと,院内および診療圏で発生した重症症例の診療,いわゆるCritical Careを今後積極的に展開しています.当地ではEmergency & Critical Careを必要とする症例が非常に高く,その診療の中核を担う人材の育成もまた我々に課せられた急務であると認識しています.
 当教室はCritical Care,救急集中治療医学を学ぶ場として最適な環境を準備されていると言えます.当教室は卒後2年の初期研修を終えた後期研修医はもちろんのこと,国内留学で最先端のCritical Careを学びたい医師を広く受け入れています.

 当教室は大学附属病院の中央診療部門である救急部と集中治療部をドッキング方式で運営しています.私達はまず初期救急医療施設としての当院に来院する1次2次救急症例の初療を担当するPrimary Care Physicianです.それと同時に私達は我々自身の専門性を,救急医学と集中治療,いわゆるCritical Careとしてとらえています.具体的には私達は急性心不全,ARDS(急性呼吸窮迫症候群),急性腎不全,急性肝不全,さらには敗血症性多臓器不全などの急性臓器不全,あるいは臓器不全を合併する可能性の高い病態である重症急性膵炎や汎発性腹膜炎,敗血症などの症例の診療を担当するCritical Care Physicianです.いわば軽症症例から死に瀕した最重症症例まで診療するのが当科の特徴です.

 以上のような診療上の特徴を持つ当教室で研修を受ける意義は,

* 1次2次救急症例の診療を通じて,様々な疾患の診療について広く学ぶことができ,いろいろな状況に対応できうる経験をつむことが出来ること.
* 多種多様な社会的背景を持つ症例を多く診療することで,医師としての社会性を身につけることができること.
* 最重症症例の診療を通じて,高度医療の最先端の診療技術を習得し,Emergency & Critical Care Physicianとして完成した医師に成長できること.

 であると考えています.

後期研修

研修プログラムの目的及び特徴

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 卒後2年間の初期研修を終えた皆さんにとって,今後の自らの専門性を高めて行く後期研修は医師として重要な期間です.このチャンスに是非当科に飛び込んでもらい,Primary Careと,死に瀕した重症症例の診療?Critical Careに関するProfessionとして成長していただきたいと我々は強く願っています.
 またなにより,新体制となり新たなスタートを切った当科のスタッフである我々と共に歩む仲間としての成長を期待しています.
 後期研修終了後はさらにEmergency & Critical Care Physicianとしての専門性を高め臨床医として勤務するほか,研究者,教育スタッフとして活躍する道が開けています.

研修プログラムの管理運営

 研修医1名あたり指導医1名から2名が担当指導教官となり,きめ細やかで丁寧な指導を行います.研修医は指導医が行う医療行為や討議に参加し,スタッフの1員として実践的な指導を受けるなかで,研修目標の達成を目指します.

 プログラムの管理は,半年ごとに指導医スタッフ会議を開催し,プログラムの実効性の評価を行います.また必要に応じて不定期に会議を開催し,修正を加え,より実効性のあがるものに改訂していきます.

研修過程計画

 基本的には研修開始後6年間でCritical Care Physicianとして完成することを目指したカリキュラムを準備しています.このカリキュラムは本人の希望を十分にヒアリングした上で個人にあった形で柔軟に運用しています.現在当教室で研修中の後期研修医に関しても,それぞれの希望を考慮した上でカリキュラムを選択しています.
 現在3名の後期研修医がそれぞれの希望を生かし研鑽を積んでいる最中です.基本的な研修コースを示します.
  大学病院 救急部・集中治療部  1-2年
  救命センター勤務 1-2年
  Sub speciality コース (外科,透析など)1-2年
(救命センターは外傷受け入れ件数が多い施設,ドクターヘリ運用施設を含みます.)
(いずれも優れた指導者が指導に当たっている施設のみを対象にしています.)

研修到達目標

  • 救急外来を受診する救急症例の診療を行う.
    • 一般的な身体所見をとる.
    • 重症度を評価し,緊急性の有無を判断する.
    • 幅広い救急疾患に対して適切な初期診療を行う.
  • 一次救命処置につき説明し、施行する.
    • 心肺脳蘇生法(CPCR)の原理を説明する.
    • 気道確保の方法を列記し,実施する.
    • 人工呼吸を施行する.
    • 心臓マッサージを施行する.
  • 二次救命処置につき説明し,施行する.
    • 気管挿管を施行する.
    • 静脈確保,中心静脈確保を施行する.
    • 救命処置に使用する薬剤の種類につき述べ,それらを使用する.
    • 電気的除細動器を適切に使用する.
  • 多発外傷・熱傷・急性腹症症例の診療を行う.
    • 救命処置を行う.
    • 重症度を判定する.
    • 診断の段取りを計画する.
    • 必要な診療科で医療チームを編成し,その指揮をとる.
  • 薬物中毒症例の診療を行う.
    • 薬物同定のための情報を収集する.
    • 薬物同定キットを用い診断する.
    • 胃洗浄を施行する.
    • 活性炭経口大量投与法を施行する.
    • 血中より薬物排除法の種類を列記し,それらを施行する.
    • 薬物中毒に対する血液浄化法の適応を述べる.
  • 重症症例についてICU管理の必要性を判断する.
    • 集中治療室入室症例の重症度評価法の種類を列挙し,その有用性につき説明する.
    • 多臓器不全(MOF)の病態を説明し,診断する.
    • 人工呼吸を施行する.
    • 多科にわたる外傷・疾患を有する重症症例の管理を行う.
  • ICUにおける重症症例の管理につき説明し,実施する.
    • 急性心不全に対する薬物療法,IABP,人工心肺につき説明し,実施する.
    • ARDS,喘息重積発作などの急性呼吸不全の病態を把握し,人工呼吸管理,人工呼吸器につき説明し,適切な呼吸管理を実施する.
    • 急性肝不全・劇症肝炎の病態につき説明し,人工肝補助療法を実施する.
    • 急性腎不全の病態につき説明し,人工腎補助療法を実施する.
    • 多臓器不全に対する各種人工補助療法について説明し,それぞれ適切に施行する.
    • 重症症例の水分・電解質・酸塩基平衡の異常を指摘し,その病態を把握した上で,その症例にふさわしい輸液管理を実施する.
    • 重症症例に対する栄養管理の重要性を述べ,実施する.

国内留学

Critical Care Physician養成


当科では,他施設からの研修を受け入れています.教科書では学ぶことのできないCritical Care,救急集中治療,多岐にわたる重症症例の診療を,血液浄化法,人工心肺などの人工補助療法に精通したスタッフとともに実地で行うことで身につけることが出来ます.
 またその研修中の待遇についても考慮しています.
 救急部講師 森口武史  院内PHS 4650 renn.jpg