山梨大学医学部附属病院

山梨大学医学部附属病院部門中央診療部門産後ウェルビーングセンター

産後ウェルビーングセンター

業務内容のご紹介

 周産期の母子を守ることはとても重要なことであり、国は産後うつ対策として、産後1か月に産後うつスクリーニング(エジンバラ産後うつ評価票)実施を指示しました。山梨県は全ての母親に検査を実施している全国有数の自治体です。そして検査実施後のフォロー体制の充実のために、令和元年に山梨大学医学部附属病院精神科専門外来として始まった産後ウェルビーング外来が、令和3年2月よりセンターとして活動することとなりました。
 当センターでは精神科医と臨床心理士、助産師を中心に、産科医や小児科医と連携しながら、産後の不安やうつに悩む母親とその夫、両親らの様々な相談に応じます。

 産後まもなくして多くのお母様たちが体験するマタニティーブルーズは産後1ヶ月以内に自然に解消されることが多いのですが、その1割程度の方が産後うつ病へ移行します。さらに産後うつ病の多くは産後3から6ヶ月にマタニティーブルーズとは別に発症し、最長3年までの間に発症する可能性があると言われています。しかし育児と家事に追われているお母様方は自分自身を省みる余裕を無くしており、気持ちや身体の辛さに目をつぶってしまうことが少なくありません。産後に亡くなられた女優さんのように、悩まれていることを周囲から気づかれない方も多いです。そしてこのコロナ禍により、育児をする母親の苦悩はさらに増え、センター受診者数は増加傾向にあります。

 当センターでは母親が暮らす様々な生活・育児事情に寄り添って支えることが大切であると考えており、周産期の母親およびその夫のこころの不調についての正しい医療情報をご本人・家族や地域支援にあたる医療者、そして広く市民へお伝えしていくための活動をいたします。山梨県の母子が健やかに過ごせる保健・医療が全国に誇れるものとなりますよう、皆様に求められる医療を提供したいと思います。ご心配のある方は市町村の母子担当保健師に当センターへの予約を依頼してください。お気軽にご相談くださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

具体的な診療内容

以下のような不安や悩みの軽減を図ります。

  1. 産後に経験する気持ちのつらさには育児に関する不安(赤ちゃんをかわいく思えない、誰にも触らせたくない、ちゃんと育っているのかわからなくて怖い、など)
  2. 自分が他の母親と同様にちゃんと赤ちゃんを育てられているか不安
  3. 夫や親との育児に対する考え方の違いや分担のあり方に関する不満や不安
  4. 赤ちゃんの成長に関する不安

などです。

 産後のお母さんたちは赤ちゃんのために時間も体力も精一杯使わなくてはいけないと頑張っています。それに悩むこと自体が自分自身を責めることとなり、医療者へ相談するというと少し後ろめたいイメージを抱くかもしれませんが、センターのスタッフ一同、最新の周産期医療知見をふまえた懇切丁寧な説明と最善の医療をご提供したいと考えております。今まさに育児をしているみなさん、これから出産するにあたり不安を抱いたみなさん、いずれもご相談に来ていただいています。

また、大学病院としてさらなる周産期医療の発展と改善のために、新たな医療技術の開発も行っています。

診療日と問い合わせ先

 完全予約制(初診・再診)

 毎週木曜日 10:00~17:00(産後ウェルビーングセンター)
 
 場所は精神科の外来ですが、ゆとりを持ってご相談に乗れるようにしています。紹介患者のみの受付となっておりますので、当院にてご出産の方は当院産科助産師まで、他院でご出産の方は市町村の母子担当保健師に当センターの予約をお願いしてください。
 なお、診療は保険診療(通院精神療法など)にて行うものであり、別途心理士によるカウンセリングについては当院が定めるカウンセリング料をいただくことを、あらかじめご了承下さい。

研究について(任意参加)

 当センターでは設立当初より以下の研究を進めてきており、これらの検査が産後うつのスクリーニングに有効性がある可能性を既に見出しております。産後うつ診療における補助的指標として、またさらなる精度の向上を図るため、以下の研究にご参加をお待ちしております。

●じいじばあばによる評価票MMSPについて
 エジンバラ産後うつ評価票(EPDS)は国内外で広く用いられているスクリーニング方法ですが、自己評価である限り、ただしく産後うつを評価できていない母親がいることが知られています。そこで育児する母親を見守る親御さんに客観的評価をしていただく質問票を開発しました(特許申請済み)。EPDSと併用することによりスクリーニング精度の向上を図ろうとするプロジェクトです。


●血液バイオマーカーPEACNR2遺伝子多型について
 自己評価方法であるエジンバラ産後うつ評価票(EPDS)における偽陰性、つまりお母さんが辛さを意図的あるいは無意識に隠してしまう(がまんしてしまう)ことに対して、血液検査という客観的指標を開発し、併用することによりスクリーニング精度の向上を図ろうとするプロジェクトです。

スタッフ紹介

石黒 浩毅
石黒 浩毅
役割 センター長
職種 特任准教授
兼務・所属 産後ウェルビーングセンター/ 遺伝子疾患診療センター
卒業年 H.5
専門領域 遺伝子・染色体疾患における神経発達症及び精神疾患、多因子疾患、緩和ケア
資格 日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会臨床遺伝専門医(指導医)
精神保健指定医
日本精神神経学会専門医(指導医)
日本医師会認定産業医
精神腫瘍都道府県指導者
難病指定医
奥田 靖彦
奥田 靖彦
職種 特任准教授
兼務・所属 産後ウェルビーングセンター/ 遺伝子疾患診療センター / 地域周産期等医療学講座
卒業年 H.7
専門領域 周産期医療、産婦人科一般
資格 日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会 臨床遺伝専門医
日本産婦人科学会専門医
日本周産期・新生児医学学会 周産期専門医
日本産婦人科学会指導医
小林慶太
小林慶太
職種 助教
兼務・所属 産後ウェルビーングセンター
卒業年 H.20
専門領域 精神科臨床一般
資格 精神保健指定医
佐藤麻紀
佐藤麻紀
職種 臨床心理士
兼務・所属 産後ウェルビーングセンター
小松未奈
小松未奈
職種 看護師
兼務・所属 産後ウェルビーングセンター