2019年 年頭のご挨拶 19.01.04

新年明けましておめでとうございます。平成最後の年になりますが、今年もよろしくお願いいたします。

本院は特定機能病院であり、①高度の医療を提供する能力を有すること、②高度の医療技術の開発及び評価を行う能力を有すること、③高度の医療に関する研修を行わせる能力を有すること、がその要件とされています。さらに本院の理念は「一人ひとりが満足できる病院」であり、「共に考える医療」、「質の高い安全な医療」、「快適な医療環境」、「効率の良い医療」、および「良い医療人の育成」を目標に掲げ、「病院全体がひとつのチーム」として、全職員が診療・教育・研究に一丸となって取り組んでいます。

2018年も附属病院は順調に稼働し、収入額は2017年度の188億9千万円から2018年度は196億6千万円程度に増加し、稼働額では2017年度の191億4千万円から2018年度は199億7千万円程度に増加すると予想されます。附属病院再整備計画では、Ⅱ期棟(250床)の工事が2018年8月に着工され、2020年秋の開院を予定しており、この時点では国立大学附属病院のなかで最新鋭の病院となります。その後は、中央診療棟の改修、旧東病棟の取り壊し、Ⅲ期棟の建設、外来棟の改修を予定しています。全く別の敷地への完全な移転でないため、特に院内の移動などで不便な状況が生じ、患者様及びご家族の皆様には一時的にご迷惑をおかけすると思いますが、ご容赦ください。

2017年11月30日、12月1日に受けた厚生労働省・関東信越厚生局・山梨県による10年ぶりの「特定共同指導」は、「経過観察」、すなわち合格という結果でした。今後も診療内容のより一層の適正化に向けて、保険診療に対する学習を全職員で継続していきたいと思います。

2018年4月にIVRセンター、6月にてんかんセンター、8月に腫瘍センター内にがんゲノム医療部門を設置しました。いずれのセンターも山梨県では最初のものであり、今後の発展が期待されます。2019年1月には、「医療の質・安全管理部」に専従医師が着任予定で、本院の医療安全管理の発展と医療安全文化の熟成に大きく貢献していただけると考えております。2017年度から附属病院1階(山梨中央銀行ATM前)で稼働している「入退院支援室」では、現在は整形外科の一部と乳腺疾患の予定手術患者さんのみが対象ですが、Ⅱ期棟完成後はすべての予定入院患者さんを対象として多職種連携で入院から退院までの支援ができるような「入退院支援センター」に発展いたします。同センターがフル稼働した時点で、患者さんへのサービスの向上、病院経費の削減と収入増加、職員の負担軽減に貢献します。

2017年10月にハイブリッド手術室で山梨県内では第1例目である「経カテーテル大動脈弁留置術」(TAVI)が開始され、すでに20例以上の患者さんに実施されています。このTAVIは最先端の超低侵襲治療法で開胸手術に耐えられないような高齢の大動脈弁疾患の患者さんが適応であり、全例が順調に回復されています。2013年6月に山梨県内で最初に開始した手術支援ロボット「ダビンチ(R)Si」を用いた泌尿器科領域での「ロボット支援腹腔鏡下前立腺がん根治術」、2016年9月に開始した腎がんに対する「ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術」は、すでに合計300例以上の患者さんに実施されています。2017年10月に消化器外科で開始された胃がんに対する「ロボット支援腹腔鏡下胃切除術」も20例以上に実施され、2018年4月以降には大腸がん、肺がん、子宮がん、膀胱がんに対するロボット支援手術も開始されました。今後は当該診療科、手術部、MEセンターなどのスタッフの経験を蓄積し、適応の拡大と技術レベルのさらなる向上を目指します。

2018年10月18日に公表された同年度の医師臨床研修マッチング結果では、山梨県枠73名に対してマッチ者数70名、最終充足率は96%と全国第1位であり、本院は定員40名で充足率100%は国立大学病院の中では最高でした。2016年4月からの臨床教育部の設置、2018年から各診療科・臨床講座に教育担当教育医長を設置するなどの努力が実った結果でありますが、専門医教育体制も強化して行き、山梨県の医師数を増加できるように努力いたします。

現在の病院再整備計画が完成するまでにはまだ数年はかかりますが、本院の理念である「一人ひとりが満足できる病院」とともに「理想の大学病院」を目指した挑戦を続けますので、本年もよろしくお願いいたします。

2019年1月4日
山梨大学医学部附属病院
病院長 武田 正之

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