IVRセンター

センター長挨拶

 IVRセンター長の荒木拓次です。IVR(Interventional Radiology)とは「画像下治療」と和訳され、血管造影・超音波・CTなどの画像診断装置を用いて画像ガイド下に経皮的に器具を扱い体に負担をかけず治療を行う分野です。IVRセンターは、平成30年、山梨大学医学部附属病院および山梨県下、周辺地域におけるIVR治療を集約的に行い、関連各科や関連各施設との緊密な連携の拠点を構築するとともに、専門医の育成を行い、山梨県下のIVR治療向上を計ることを目的として設立されました。
 本センタ―では、当院各科の患者の体幹部の血管系、非血管系IVR治療(肝細胞癌など様々な腫瘍塞栓術、体幹部の出血の止血術、経皮的血管形成術、ステントグラフト内挿術、動脈瘤・動静脈奇形の塞栓術・硬化術、腫瘍生検、膿瘍ドレナージ、CVポート留置、胃静脈瘤や高アンモニア血症の塞栓術、静脈サンプリング血管内異物除去など)を年間、600~700例程度行っています。また、他施設で行いにくい治療なども対象とし全県下と周辺地域から患者さんを受け入れ、関連各科各部署と密接に連携し高度なIVR診療を多くの患者さんに提供しています。

山梨大学医学部 IVRセンター 荒木拓次

センター紹介

 IVRはinterventional Radiologyの略で日本語では画像下治療と訳されます。あまり耳慣れない分野ですが、欧米などでは普及しており体に負担をかけない確立された治療法です。IVRでは主にX線透視やCT等の画像診断機器を使って針やカテーテル(医療用の細い管)を安全に体に挿入し、病気の治療を行います。一般的に局所麻酔で行い、体には針を刺した傷しか残らず、多くの場合、大病の治療であっても数時間後からは普段と変わらず歩くことも可能です。
 IVRは技術的な専門性が高く、山梨県内にIVR専門医は数名しかおりません。このため、県内各病院にIVR専門医を配置することはできないのが現状です。当センターは山梨大学附属病院内のみならず、山梨県内全域および周辺地域から緊急症例を含め、IVRを必要とする方を広く受け入れ、IVR治療を提供しています。
IVRが対象とする疾患は下記に挙げるように各診療科の枠を超えて多岐にわたります。内服治療よりも直接的に病気にアプローチしたり、手術よりも体にかかる負担が小さく治療が可能な場合もあります。お困りの場合にはぜひご相談ください。

対象疾患について

  • 腫瘍塞栓術(肝癌、腎血管筋脂肪腫、子宮筋腫や転移性腫瘍の一部など):カテーテルを腫瘍の栄養血管まで進め血管を詰める物質を流すことで腫瘍への血液を断ち、兵糧攻めにします。
  • 血管塞栓術(動脈性出血、内臓動脈瘤、動静脈奇形、胃静脈瘤、異所性静脈瘤等の消化管静脈瘤、門脈体循環短絡、精索静脈瘤など):カテーテルを異常血管まで進め血管を詰める物質で病気の領域の血液の流れのみを断ち、破裂を防ぎます。また、一部の病気では血液の流れを変えることで正常な代謝を促し、症状の改善を図る治療もあります。
  • 動注化学療法(肝癌、膀胱癌や頭頸部の悪性腫瘍):カテーテルを腫瘍の栄養動脈まで進め抗癌剤を流すことで、静脈から抗癌剤を流す場合と比較して、腫瘍にピンポイントに高濃度の抗癌剤を流すことができます。
  • 血管形成術(内臓血管や足の動脈、心臓上下の太い静脈が閉塞した場合):カテーテルを狭窄/閉塞した血管に進め、バルーンで膨らませたり、ステントと呼ばれる金属の網目で裏打ちをしたりして血管を広げます。
  • ステントグラフト内挿術(胸部/腹部大動脈瘤):血管の中から動脈瘤の領域にステントグラフトと呼ばれる金属の骨格を持った人工血管を置き、動脈瘤の内部に、新たな血液の流れを作ります。これにより動脈瘤の破裂を防ぎます。挿入するカテーテルが太いため、当院では血管外科医師と協力し全身麻酔状態で足の付け根に3㎝程度の切開を行っています。 ・CVポート留置(血管に刺激を与えるお薬を使う方、食べ物を食べられず、長期に点滴から栄養を摂取する方):鎖骨の下あたりの胸部皮膚の下に小さなタンクを埋め込み、ここから伸ばしたカテーテルの先端を太い血管に置いておきます。点滴が必要な際には体の外からタンクを刺し、お薬を注入

外来診療予定表

スタッフ紹介

役職 氏名 専門領域 専門医

准教授(センター長)

荒木 拓次
あらき たくじ
専門領域:IVR 専門医:日本医学放射線学会放射線診断専門医・研修指導医
日本インターベンショナルラジオロジー学会IVR専門医
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