2020年 年頭のご挨拶 20.01.06

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
  2019年も附属病院は順調に稼働し、稼働額は2018年度の200 億7千万円から2019年度は約208億円に増加すると予想されます。


  附属病院再整備計画では、第Ⅱ期棟(250床)の工事が2018年10月4日に着工されて2020年秋の開院を予定していますが、この時点では国立大学附属病院のなかで最新鋭の病院となります。新病棟の建物構造は、鉄骨造(免震構造)7階建て、延べ床面積13,548.62m2であり、病院全体618床のうち、250床を収容することとなります。入退院管理部門、RI病室、無菌エリア病床、4床室相当の特別個室など、国立大学附属病院の役割と患者ニーズに対応した整備を行う予定です。その後は旧東病棟の取り壊しが始まり、2021年に第Ⅲ期棟工事が着工されて2022年に竣工予定で、その後外来棟の改修予定です。全く別の敷地への完全な移転ではないために特に院内の移動などで不便な状況が生じ、患者様およびご家族の皆様には一時的にご迷惑をおかけすると思いますが、ご容赦ください。


  2019年11月1日に、「成人先天性心疾患外来(ACHD)」および「内分泌代謝移行期外来」を開設しました。「成人先天性心疾患外来(ACHD)」は、先天性心疾患や小児循環器疾患を有し成人期に達した患者さんの診療を行います。「内分泌代謝移行期外来」は、小児期に発症した内分泌代謝疾患について、小児期から成人期医療へ円滑に移行し、成人期においても安心して治療を受けるための外来です。


  手術関係では、第Ⅰ期棟の手術部内に設置されたハイブリッド手術室で2017年10月に山梨県内での第1例目を実施した「経カテーテル大動脈弁留置術」(TAVI)は、高齢の大動脈弁疾患患者さんの最小侵襲治療として定着しました。2013年6月に山梨県内で最初に導入した手術支援ロボット「ダビンチ(R)Si」はフル稼働して500件近くの手術を実施した後、2019年5月に最新型の「ダビンチ(R)Xi」と「ダビンチ(R)X」の2台に更新しました。今後は当該診療科、手術部、MEセンターなどのスタッフの経験を蓄積し、適応の拡大と技術レベルのさらなる向上を目指して行く予定です。2019年5月には、2Dおよび3D移動型術中イメージングシステムであるO-armの2台目を導入しました。脊椎外科領域、整形外科領域などを中心とした多様な手術が、O-armによってより正確に実施できます。


  2017年1月から開始した入退院支援室はスペースの関係で一部の患者さんのみが対象ですが、第Ⅱ期棟完成後はすべての予定入院患者さんを対象として多職種連携で入院から退院までの支援ができるような「総合患者サポート部(仮称)」に発展いたします。


  2019年1月に荒神裕之教授が「医療の質・安全管理部」の専従医師として着任され、当院の医療安全管理の発展と医療安全文化の熟成に大きく貢献されています。WHOが“世界患者安全の日 (World Patient Safety Day)”と決定した9 月 17 日には、荒神先生の指導によって附属病院のライトアップや医療安全のうちわの配布が行われました。


  2019年10月には頭頚部・耳鼻咽喉科に櫻井大樹教授が、また11月には眼科に柏木賢治教授が就任されました。両科の診療内容の更なる向上が期待されます。


  2019年11月1日に、国内では15例目となる6歳未満の幼児からの脳死下臓器提供が当院で実施され、心臓、肝臓、小腸、腎臓が他施設で移植されて順調に経過しています。当院でも、臓器移植医療、再生医療を進めて行く所存であります。


  2019年10月17日に公表された同年度の医師臨床研修マッチング結果では、山梨県枠76名に対してマッチ者数56名、最終充足率は73.7%で、全国都道府県のなかでは第25位でした。当院は定員42名マッチ数36名で、充足率85.7%は国立大学病院の中では第10位でした。
  当院の理念である「一人ひとりが満足できる病院」とともに「理想の大学病院」を目指した挑戦を続けますので、本年もよろしくお願いいたします。

2020年1月6日
山梨大学医学部附属病院
 病院長 武田 正之

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