病院長挨拶

     病院長 木内 博之

 山梨大学医学部附属病院は、1983年(昭和58年)山梨医科大学に設立され、本年、創立40周年を迎えます。その間、県内で唯一の大学病院として、多くの人材を輩出し、明日の医療につながる研究を続けるとともに、特定機能病院として、県民の皆様に先進的医療の提供を行って参りました。

2021年(令和3年)より病院の基本理念を「すべての患者さんに安心を」とし、高度医療の中核として、患者さんに良質で最適な医療を提供するとともに、人間性豊かな医療人の育成と臨床医学の発展に貢献すべく、日々取り組んでおります。

本院の特徴は、地域がん診療連携拠点病院、肝疾患診療連携拠点病院等に加えて、最近では、がんゲノム医療連携病院、アレルギー疾患医療拠点病院、小児がん連携病院、てんかん診療拠点病院、難病診療連携拠点病院としての指定を受けており、県民の皆様に診療科横断的な集約的医療を提供しております。また、総合支援部を新設し、受診案内、医療相談、入退院支援、医療連携(紹介)などの機能を集約し、医療の安全性と効率化の向上により地域の医療機関及び患者さんの負担の軽減に努めております。 

本院の再整備は、2013年(平成25年)に着工され、すでに2つの新棟(南・北病棟、西病棟)が完成し、先月、診療支援棟も竣工いたしました。新しい病室は、面積をより拡充し、個室も増やしました。また、要望の多かったWiFi環境の整備を行い、入院生活のクオリティを高めるよう、アメニティーのさらなる充実を図っております。手術室は 13室を擁し、本院の強みである低侵襲で高度な先端医療を推進すべく、内視鏡手術室、da Vinci SiTMによるロボット支援下手術専用室や手術台とX線血管撮影装置を組みわせたハイブリッド手術室、さらには、わが国で最高の性能を誇る高磁場MRI装置を導入した術中MRI手術室が整備されております。放射線部門には画像診断、核医学、放射線治療の三部門があり、最高水準の診断と治療装置が稼働しております。昨年度に導入された多目的血管撮影装置により、これまでの消化器系の診断に加えて、循環器や脳神経系疾患の診断と治療が大幅に拡充されました。また、3検出器 SPECTやSPECT-CTにより高度な核医学診断も行っております。治療においては、高エネルギーX線発生装置として、CTと一体化して高精度な定位照射が可能なオンレール CT+リニアックシステムと、画像誘導放射線治療(IGRT)機能を有し強度変調放射線治療(IMRT)を行うTomoTherapyにより高精度放射線治療を画像誘導下に行っており、国内外から注目されています。

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは4年目に入り、重症化や死亡率は低下傾向が見えてきておりますが、今後の収束にはまだ時間がかかりそうです。本院は、新型コロナウイルス感染症が発生した当初から、率先して中等症~重症患者を受入れ、患者さんの救命に努めて参りました。またICTを活用した健康観察システム(SHINGEN)の開発による療養体制の効率化と安全性への貢献、ドライブスルーなどのPCR検査、ワクチン接種への貢献と体制強化、医療者の宿泊療養施設や域外広域派遣への積極的参画など、新型コロナウイルス感染症対策において山梨県と協力して重要な役割を担ってきました。今後、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが変わる可能性が示されておりますが、引き続き感染症対策に貢献して参ります。

繰り返しになりますが、本院の理念は、「すべての患者さんに安心を」でございます。「患者さん中心の医療の提供」、「多職種連携による安全で質の高い医療の実践」、「先進医療の推進と医学の発展への貢献」、「自らの使命と責任を自覚し、豊かな人間性と高い倫理性を備えた医療人の育成」、「地域連携の強化による医療、介護および福祉の向上」を全うし、山梨の皆様に信頼される病院を目指して、職員一同精進し、それを誇りと出来るよう努力を続けて参ります。

皆様方のより一層のご支援をお願い申し上げます。

令和5年4月1日

山梨大学医学部附属病院
病院長 木内 博之

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