病院長挨拶

令和5年4月1日より2年間、「すべての患者さんに安心を」の理念のもと病院長として当院の運営にあたってまいりました。このたび皆さまから温かいご支援を賜り、2期目の病院長を拝命させていただきました。これからの2年間も何卒よろしくお願い申し上げます。
昨今、物価の高騰や人件費の上昇により、病院経営は一層厳しさを増しております。加えて、医療従事者不足や、人口減少と少子高齢化といった地域社会の変化により、地域医療は困難に直面しています。このような厳しい状況においても、私たちは当院の理念を胸に、地域の皆さまに高度で持続可能な医療を提供し続けるという責任を強く感じております。
昨年度、当院は、山梨県ならびに市町村そして山梨県医師会の要請を受け、二次救急および三次的救急患者の対応に加え、国立大学病院としては新たな試みである「初期救急医療センター」を開設いたしました。これにより地域の救急医療体制が強化され、患者さんがより迅速かつ適切に医療を受けられる環境に近づけることができたと考えております。今後も引き続き、救急医療体制の充実を図るとともに、地域医療機関の皆さまと連携関係を構築し、転院搬送を推進しながら、患者さんの命を守る体制を築いてまいります。
また、大学病院としての責務を果たすべく、高度先進医療の更なる推進を図ってまいります。その一つは、安全で確実な手術を目指したロボット支援下手術の強化です。すでにダヴィンチを3台備え、全国でも屈指の手術件数を誇っておりますが、加えて、整形外科の人工関節置換術のロボット支援システムであるメイコーを導入しております。
さらに、働き方改革を見据えた効率的な病院運営を目指し、医療DXの推進に力を入れるとともに、外来受診をサポートするためのスマホ受付システムを導入する等、患者さんの利便性向上を図ってまいります。そして、現在の大きな目標は、新外来機能強化棟の建設です。最新の設備を整え、専門性の高い医療を提供することで、地域全体の医療レベル向上に貢献していく所存です。
地域医療においては、団塊世代ジュニアが65歳を迎える2040年に向けた患者構成の変革への早急の対策が求められる中で、山梨県が抱える課題を乗り越えるためには、医療機関や介護施設とのこれまで以上の相互連携が不可欠です。救急や高度医療の提供だけでなく、在宅医療や慢性疾患管理など、患者さんがどの段階でも適切な医療を受けられるよう、今後さらに協力体制を強化しなければならないと考えております。
これからも山梨県内唯一の特定機能病院として、安全で質の高い医療を提供できるよう、職員一同、知恵を出し合い、協力しながら地域医療に貢献できるよう邁進してまいります。皆さまの変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
令和7年4月1日
山梨大学医学部附属病院
病院長 木内 博之