分娩部
部門長挨拶
令和5年4月より分娩部長を務めさせていただいている産婦人科の奥田靖彦と申します。分娩部は母児の予後を改善することが第一目標と考えており、そのためには正確な診断および治療が肝要と考えています。
診断は産科の場合おもに産科医による超音波断層検査で行います。当院は特に先天性心疾患の児に対応すべく「胎児心エコー」に力を入れています。研究会に参加し、研鑽をつんで「胎児心エコー認証医」の資格を得た産科医が常勤し、小児心臓専門医の先生とともに診療にあたっています。
治療に関しては胎児を一刻も早く出生させる「超緊急(グレードA)帝王切開」をスムーズに行うことを目標にしています。そのために、心掛けていることは関係各部署の方々との密な連携です。帝王切開は産科医だけでは施行できず、助産師、小児科医、麻酔科医、手術部看護師との連携が重要です。そのため、年に2回程度各部署のスタッフが集まり、実際の超緊急帝王切開を想定したシミュレーションを開催して、問題点を抽出し、実際の超緊急帝王切開における取り決めを改善する試みを行っています。
分娩部は今後も母児の更なる予後の改善に向けて取り組んでいく所存であります。よろしくお願いします。
山梨大学医学部 分娩部 奥田靖彦
部門紹介
分娩部は妊産婦の妊娠、分娩および産褥期を管理し、さらに出生した新生児のケアをすることが主な業務です。分娩数は年間700 弱程度で推移しています。本院の特徴は総合病院であることから、糖代謝異常や精神疾患などの母体合併症が多いことです。また、妊娠高血圧症候群、前置胎盤などのような異常妊娠が多いことも特徴です。さらに、胎児先天異常も対応しており、特に先天性心疾患は山梨県では本院へ集約されています。その他、生命の危機となりうる産科危機的出血症例にも対応しており、その際には輸血細胞治療部の方や麻酔科、放射線科、救急部の先生方のご協力を得て救命しています。これらの妊娠例はハイリスク妊娠とされますが、約60% がハイリスク妊娠です。一方、妊娠および分娩は、母児の安全性に留意しつつも快適さに留意することも重要です。そのため、本院ではローリスク妊娠に対しては主に助産師が担当して取り扱い、分娩中に緊急の事態が生じた際に直ちに産婦人科医が介入する「院内助産よつ葉ルーム」を開設させていただき、妊婦の方やその家族の方から好評をいただいております。さらなる満足度の高い分娩を数多く行い、理想の産科病棟、分娩部を追求していく所存であります。
対象疾患について
- 母体合併症(糖尿病、精神疾患等)
- 異常妊娠(前置胎盤、妊娠高血圧症候群、早産等)
- 胎児先天性疾患(特に先天性心疾患)
- 産後の異常出血(産後に他院から搬送されます。)
- 正常妊娠、分娩(助産師外来、院内助産)
スタッフ紹介
役職 | 氏名 | 専門領域 | 専門医 |
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特任准教授(部長) |
奥田 靖彦
おくだ やすひこ
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専門領域:周産期医療、産婦人科一般 |
専門医:日本産科婦人科学会専門医・指導医 日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会 臨床遺伝専門医 日本周産期・新生児医学会 周産期専門医・指導医 日本胎児心臓病学会 胎児心エコー認証医 |