臨床教育部

部門紹介

 臨床教育部は臨床実習センター、臨床研修センター、専門医キャリア支援センターの3つの医師育成センターと特定行為研修センター、医療スタッフ研修センターの2つの多職種育成センターと、これら医療者、医学・看護学生の臨床技能・技術教育を支援するシミュレーションセンターで構成されています。昨年設置された連絡協議会では喫緊の課題である「卒前卒後のシームレスな臨床教育」の実践を目的に、令和5年度より公的化されるpre-OSCE、post-OSCEに準じた技能・技術試験を念頭にした教育教材・手法の開発を進めています。令和3年に開講された看護師特定医行為研修を運営する特定行為研修センターでは、現役看護師を医師が教育するあらたな教育環境を整備し、看護師のキャリア形成、働き方改革におけるタスクシフトの推進を支えています。医療スタッフ研修センターでは、日々高度化するコメディカル領域の人材育成を支援しています。臨床教育部では、今後予想されるさまざまな医療ニーズに応えられる人材を育成することにより地域医療と国際医療に貢献できるものと考えています。

臨床実習センター

 臨床実習センターは、医学科および看護学科の臨床実習生、学外からの医療系実習生の臨床実習・臨地実習を統括しています。医療者として知識を学ぶだけでなく、「プロフェッショナリズム」を身につけて、卒後に医師、看護師、保健師、助産師として活躍できるように、より良い臨床教育の実施に努めています。また、大学病院だけでなく学外の医療機関等においても実習を行うことで、日常診療で遭遇しやすい疾患の診断と治療・看護を学び、様々な患者さんに実地に接して、医療・福祉における社会の多様なニーズを学べるように配慮しています。

 特に、医学科の臨床実習生は医師法に基づく公的資格を有しており、診療参加型実習においては指導医のもとで一定の医行為を行うことができます。そのため、卒後の初期臨床研修に繋がる基本的な臨床手技「プライマリータスク」を卒業までに修得できる臨床実習を組んでいます。また、現在の医療はチームで実践していますので、他職種連携教育もさらに推進していく予定です。

 これらの臨床実習においては医療安全や感染制御について十分に注意を払っており、シミュレーターも活用しています。また、教員の教育能力の向上にも取り組んでいます。

臨床研修センター

 本学では、研修医を主体とした個別の研修カリキュラムを提供しています。研修のフィールドを広く学外に広げ、県内外の中核病院から被災地診療所を含む大きなアライアンス(連携病院群)を形成し、その中で自由に研修できる体制を提供しています。これまでも、県内外に多くの連携施設を持ち、相互の交流を行ってきましたが、さらにたすき掛けプログラムでは1年次あるいは2年次いずれの年次でも自由に学外関連施設で研修できるプログラムに改定し自由度を高めました。一般プログラムでは2年次で最大11か月ある自由選択期間を新専門医制度の開始を受けて1年次から選択できる形とし、興味のある診療科を1年次に回ることによって進路を安心して決められる環境を提供しています。2020年度から必須化された一般外来研修は、教育重点施設に研修医外来ブースを設置し、大学から派遣の教育指導医、各施設上級医の指導の下、多くのcommon diseaseを経験することで外来初療能力の向上に務めています。また、研究への興味を持つ研修医のために、大学院に通い研究活動も行いながら初期臨床研修も可能とする「研究医育成プログラム」も設置されています。

専門医キャリア支援センター

 国民から分かり易い専門医制度の構築を目的として設立された日本専門医機構による新専門医制度が開始されています。今後は、広告開示や資格認定等にもつながる可能性があり、若い先生方のキャリア形成には避けては通ることができない重要な制度です。専門医キャリア支援センターでは、初期臨床研修医の先生方に対して、これら新専門医制度に関する基本的な事項から新たな情報に至るまで、様々な情報を提供し支援を行っております。また、研修医の先生方が、自身の専門領域の選択の際に参考となるような、様々な基盤学会専門医に関する情報や、本院ならびに山梨県内の他の基幹施設や連携施設の情報等も収集し提供しております。院内の各診療科や臨床教育センタ-と連携し、山梨県地域医療支援センタ-とも協力しながら、研修医の先生方が納得いくキャリアアップができるように支援してまいります。

シミュレーションセンター

 シミュレーションセンターは、医療人の育成・専門能力開発・生涯教育の充実を目的に設置されました。若手医師のスキルトレーニング、臨床実習におけるタスクトレーニング、医療面接等の支援、高校生を対象とした医療体験などに活用されてきました。専門医実習としても、内視鏡下手術トレーナー(i-Sim)、DaVinci トレーナー(Mimic)、血管内治療シミュレーター(VIST)、高機能患者シミュレーター(SimMan)など高度な機器をそろえています。令和3年度からは看護師特定行為研修における演習・実習の支援も行っています。今年度はIII期棟4階に約500平米の新シミュレーションセンターが開所予定で、高機能人体モデルを常設した模擬処置室と病室も設置され、マルチタスクトレーニングルームでは、今年度より公的化されるOSCEに対応した臨床実習にも活用していく予定です。また、インターネットを使った予約・申し込みシステムにより学内外の方々への利用も広く勧めていき、県内のメディカルトレーニングセンターとしての役割も果たしていきたいと考えています。

医療スタッフ研修センター

 医療スタッフ研修センターは医師、看護師以外のco-medicalの方々の知識・技能向上のための研修や資格取得を支援するために令和3年に新たに設置されたセンターになります。これらスタッフの知識・技能の向上は病院機能評価において求められる病院の質の補償に繋がるものであり、高度機能病院としての機能強化上欠かせない取り組みと考えて設置されたものです。令和4年度はMEセンター、放射線部、病理部、薬剤部、検査部、リハビリテーション部の6部門ののべ336件に対して、学会参加、研修参加などにおける補助として総額540万円ほどの支援を執行いたしました。令和5年度は新たに栄養管理部を加えた7部門への支援を行っていく予定で、人工腎臓導入や術後疼痛管理加算獲得のための支援も加え、700万円ほどの支援を検討しています。また当センターでは、経費支援だけではなく、県内の中核施設として各部門主催の講習会、研修会の運営や、今年度開設された新シミュレーションセンターを活用したスキルアップのためのハンズオンの開催なども企画し支援を行っていく予定です。

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