安全管理指針
(令和4年2月24日改正)
この指針は、山梨大学医学部附属病院(以下「病院」という。)における安全管理に係る体制確保について定め、医療事故等の防止を図るとともに、高度な医療を提供する病院として、医療に対する信頼性の維持・向上を図り、患者が安全・安心な医療を受けられる環境を整えることを目的とする。
(医療安全の基本的考え方)
- 事故のない安全な医療を提供していくためには、医療従事者一人ひとりが危機意識を持ち、最大限の注意を払いながら日々の患者の診療に当たらなければならない。しかし、「人間であれば誰でもエラーをおかす」という事実を前提にすれば、高度化・複雑化する医療環境のなかでは、医療従事者個人の努力に依存した事故防止対策には限界がある。このため、病院では、組織的な医療事故等の防止について検討し、患者が安心して良質の医療を受けられるような環境を築くために、エラーを誘発しない環境や起こったエラーが事故に発展しないシステムを組織全体として整備していく。
組織的な医療事故等防止対策の手段として、「リスクマネジメント」の考えを導入し、リスクの把握、分析、対処及び評価のプロセスが継続するようなシステムを構築する。そのためには、発生したエラーについては、断じてこれを隠匿することなく、積極的に報告できる職場環境を確立し、報告されたエラーについては、常にこれを教材とし、分析し、現場へフィードバックし、再発の防止と、エラーが医療事故につながらない体制を整える。
- チーム医療を推進するため、日ごろから医療スタッフ間でお互いに自由に意見できる人間関係を作り、大切なことは声を上げて診療に関わる全てのスタッフが協働し、補完しあう環境を整える。
- 「頭の中で考える仕事のやり方」と「実際の仕事のやり方」の差異が大きくならないように業務手順等を整理し、そのギャップにうまく対応できるような力の育成に努める。
(病院職員の責務)
- 病院職員は業務の遂行にあたり、患者への医療・看護等の実施、医薬品・医療機器の取り扱い等、安全な医療を行うよう細心の注意を払うとともに、事故を未然に防ぐための知識・技術を習得しなければならない。
(医療安全管理責任者)
- 病院に、医療安全管理責任者を配置する。医療安全管理責任者は副病院長(安全管理担当)が担い、医療安全管理部門、安全管理委員会、医薬品安全管理責任者及び医療機器安全管理責任者の業務を統括する。
(安全管理委員会)
- 病院に、安全管理の体制を確保するため、安全管理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
- 委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。
(医療の質・安全管理部の設置)
- 病院に、医療事故を防止し、医療の安全性を確保する安全管理部門として医学部附属病院医療の質・安全管理部(以下「医療の質・安全管理部」という。)を置き、適切かつ迅速な対応を図るものとする。
- 医療の質・安全管理部の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。
(ゼネラルリスクマネジャー)
- 医療の質・安全管理部に、ゼネラルリスクマネジャー(以下「GRM」という。)を配置する。GRMは、病院の安全管理の体制確保に関する業務を担う。
- GRMの業務に関し必要な事項は、別に定める。
(安全管理のマニュアル)
- 各診療科及び中央診療部門等(以下「各診療科等」という。)の長(以下「各診療科長等」という。)は、各診療科等における安全管理のためのマニュアルを整備し、委員会に届け出なければならない。
- 委員会は、前項により届出のあった各診療科等のマニュアルとともに、病院全体の安全管理に関する基本的な考え方及び医療事故発生時における対応等についてのマニュアルを整備し、病院職員に周知するものとする。
- マニュアルは、状況報告書、インシデントレポート等をもとに、常に見直しを行い、医療事故の未然防止に役立てるものとする。
(医薬品安全管理責任者)
- 病院に、医薬品安全管理責任者を置き、医師、歯科医師又は薬剤師をもって充てる。
- 医薬品安全管理責任者に関し必要な事項は、別に定める。
(医療機器安全管理責任者)
- 病院に、医療機器安全管理責任者を置き、医師、歯科医師又は臨床工学技士をもって充てる。
- 医療機器安全管理責任者に関し必要な事項は、別に定める。
(医療放射線安全管理責任者)
- 病院に、医療放射線安全管理責任者を置き、医師、歯科医師、又は診療放射線技師をもって充てる。
- 医療放射線安全管理責任者に関し必要な事項は、別に定める。
(インフォームドコンセントに係る責任者)
- 病院に、インフォームドコンセントに係る責任者を置き、医師、歯科医師又は診療情報管理士をもって充てる。
- インフォームドコンセントに係る責任者に関し必要な事項は、別に定める。
(診療録管理責任者)
- 病院に、診療録管理責任者を置き、医師、歯科医師又は診療情報管理士をもって充てる。
- 診療録管理責任者に関し必要な事項は、別に定める。
(リスクマネジャー)
- 各診療科長等は、各診療科等の安全管理のための責任者(以下「リスクマネジャー」という。)を定め、各診療科等の安全管理の体制確保に努めるものとする。
- リスクマネジャーは、委員会から要請があった場合は、病院の安全管理の体制確保に関する対応について協力するものとする。
(事故発生時の対応)
- 医療事故等が発生した場合、医療事故調査制度の対象事例については、関係職員は、医療事故等発生時の対応(別紙)、また別表1・2により対応するものとする。
(報告の義務)
- 各診療科長等は、医療事故等が発生した場合は、別紙様式「状況報告書」により、病院長に報告する。
- 関係職員は、インシデント及び想定外報告並びに死亡事例が発生した場合は、インシデントレポート報告システム等により、その内容を報告する。
(報告者の保護)
- インシデント報告・内部通報等の報告者は、開示されず不利益な取り扱いを行われることはない。
(職員研修の実施)
- 委員会は、安全管理のための基本的な考え方及び具体的な方策について、病院職員に周知・徹底を図るため、職員研修を実施するものとする。
(患者への情報提供)
- 本指針の内容を含め、患者との情報の共有に努めるとともに、患者等から、本指針の閲覧の申し出があった場合は、閲覧に供するものとする。
(患者と医療従事者との間の診療情報の共有)
- 患者と医療従事者が対等な関係を保ち、検査や治療などの方針に関する意思決定を共同で行っていく。説明は、患者及び家族に理解されるよう分かり易い言葉を用いる。
(患者相談対応)
- 患者等からの苦情、相談に応じられる体制を確保するために、患者相談窓口を常設する。医療従事者等は、患者等からの相談に当たっては、迅速かつ適切に対応しなければならない。また、相談したことにより患者等に不利益が発生しないように配慮する。
(医療安全推進への対応)
- 高難度新規医療技術及び未承認新規医薬品を用いた医療を提供する場合には、関係学会から示される「基本的考え方」やガイドライン等を参考に実施する。
- 高難度新規医療技術及び未承認新規医薬品の取扱い関し必要な事項は、別に定める。
(医療行為の院内資格制度)
- 第4項に関連し、病院職員に医療の知識・技術を習得させ、安全な医療を提供するため、医療行為の院内資格制度を設ける。
- 医療行為の院内資格制度に関し必要な事項は、別に定める。
(指針の周知)
- 本指針の内容は安全管理委員会等を通じて、病院職員に周知する。
(その他)
- この指針に定めるもののほか、必要な事項は、病院長が別に定める。