安全管理指針
(令和 8年 4月22日改正)
この指針は、山梨大学医学部附属病院(以下「病院」という。)における高度な安全管理体制について定め、医療事故等を防止し、医療への信頼の維持・向上を図り、患者が安全・安心な医療を受けられることを目的とする。
(医療安全の基本的考え方)
- 安全な医療の提供のためには、医療従事者一人ひとりが最大限の注意を払い患者の診療やケア等を行うことが求められる。一方で、高度化・複雑化する医療において、個人の努力に依存した事故防止対策には限界があることから、「人間であれば誰でもエラーをおかす」という事実を前提に、エラーを誘発しない環境や起こったエラーが事故に発展しないシステムを組織全体で検討し、患者が安心して質の高い安全な医療を受けることができる体制を整備する必要がある。
- 組織的な医療事故等防止対策として、「リスクマネジメント」を導入し、リスクの把握、分析、対処及び評価のプロセスが継続するシステムを構築する。発生したエラーについては、これを隠匿することなく、積極的に報告する職場環境を確立し、報告されたエラーについては、分析し、現場へフィードバックし、再発の防止と、エラーが医療事故につながらない体制を整える。
- チーム医療を推進するため、医療従事者が互いに自由に発言できる組織風土を作り、診療に関わる全てのスタッフが各々の認識を分かち合って協働し、補完しあえる職場環境を整える。
- 「頭の中で考える仕事のやり方」と「実際の仕事のやり方」の差異が大きくならないように業務手順等を整理し、刻々と変わる状況の中でも臨機応変な対処ができる人材の育成を行う。
- 医療従事者のウェルビーイングが質の高い安全な医療の実現のために不可欠であることから、多様性に配慮した効率的な職場環境を整える。
(病院職員の責務)
- 病院職員は業務の遂行にあたり、患者への医療・看護等の実施、医薬品・医療機器の取り扱い等に最大限の注意を払うとともに、事故を未然に防ぐための知識・技術を習得しなければならない。
(医療安全管理責任者)
- 病院に、医療安全管理責任者を配置する。医療安全管理責任者は副病院長(安全管理担当)が担い、医療安全管理部門、安全管理委員会、医薬品安全管理責任者及び医療機器安全管理責任者の業務を統括する。
(安全管理委員会)
- 病院に、安全管理の体制を確保するため、安全管理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
- 委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。
(医療の質・安全管理部の設置)
- 病院に、医療事故を防止し、医療の安全性を確保する安全管理部門として医学部附属病院医療の質・安全管理部(以下「医療の質・安全管理部」という。)を置き、適切かつ迅速な対応を図るものとする。
- 医療の質・安全管理部の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。
(ゼネラルリスクマネジャー)
- 医療の質・安全管理部に、ゼネラルリスクマネジャー(以下「GRM」という。)を配置する。GRMは、医療安全管理者として、病院の安全管理の体制確保に関する業務を担う。
- GRMの業務に関し必要な事項は、別に定める。
(安全管理のマニュアル)
- 各診療科及び中央診療部門等(以下「各診療科等」という。)の長(以下「各診療科長等」という。)は、各診療科等における安全管理のためのマニュアルを整備し、委員会に届け出なければならない。
- 委員会は、前項により届出のあった各診療科等のマニュアルとともに、病院全体の安全管理に関する基本的な考え方及び医療事故発生時における対応等についてのマニュアルを整備し、病院職員に周知するものとする。
- 前項のマニュアルには、次に掲げる事項を含むものとする。
一 委員会に報告すべき事例の範囲及び報告手順
二 病院長が把握した死亡・死産事例について、医療法第6条の10第1項に規定する医療事故に該当する可能性のある事例を抽出し、必要に応じて医療事故調査・支援センター又は医療事故調査等支援団体に相談又は支援を求めつつ、最終的にその該当性を判断するまでのプロセス
三 遺族等から医療事故ではないかとの申出があった場合(医療事故調査・支援センターから当該相談内容の伝達を受けた場合を含む。)に、改めて医療事故該当性を判断し、その結果を遺族等に説明するプロセス
四 医療安全に関する記録の作成、管理及び保存に関する事項 - マニュアルは、状況報告書、インシデントレポート等をもとに、常に見直しを行い、医療事故の未然防止に役立てるものとする。
(医薬品安全管理責任者)
- 病院に、医薬品安全管理責任者を置き、医師、歯科医師又は薬剤師をもって充てる。
- 医薬品安全管理責任者に関し必要な事項は、別に定める。
(医療放射線安全管理責任者)
- 病院に、医療機器安全管理責任者を置き、医師、歯科医師又は臨床工学技士をもって充てる。
- 医療機器安全管理責任者に関し必要な事項は、別に定める。
(医療放射線安全管理責任者)
- 病院に、医療放射線安全管理責任者を置き、医師、歯科医師又は診療放射線技師をもって充てる。
- 医療放射線安全管理責任者に関し必要な事項は、別に定める。
(インフォームドコンセントに関する責任者)
- 病院に、インフォームドコンセントに関する責任者を置き、医師、歯科医師又は診療情報管理士をもって充てる。
- インフォームドコンセントに関する責任者に関し必要な事項は、別に定める。
(診療録管理責任者)
- 病院に、診療録管理責任者を置き、医師、歯科医師又は診療情報管理士をもって充てる。
- 診療録管理責任者に関し必要な事項は、別に定める。
(リスクマネジャー)
- 各診療科長等は、各診療科等の安全管理のための責任者(以下「リスクマネジャー」という。)を定め、各診療科等の安全管理の体制確保に努めるものとする。
- リスクマネジャーは、委員会から要請があった場合は、病院の安全管理の体制確保に関する対応について協力するものとする。
(事故発生時の対応)
- 医療事故等が発生した場合、関係職員は、患者の救命、被害拡大防止、現場保存、事実確認その他必要な初動対応を行うとともに、別に定める医療事故等発生時の対応手順並びに別表1及び別表2に基づき対応するものとする。
- 病院長は、病院において把握した死亡・死産事例について、医療法第6条の10第1項に規定する医療事故に該当する可能性のある事例を抽出し、必要に応じて医療事故調査・支援センター又は医療事故調査等支援団体に相談又は支援を求めつつ、最終的にその該当性を判断するものとする。
- 前条の判断に当たっては、医療の質・安全管理部は、必要な事実確認、関係職員への聴取、診療録その他必要資料の収集及び整理、スクリーニングその他の検討を行い、その結果を病院長に報告するものとする。
- 病院長は、必要に応じて死亡事例レビュー、医療事故該当性判断会議その他の会議体に付議し、その検討結果を踏まえて医療事故該当性を判断するものとする。
- 遺族等から医療事故ではないかとの申出があった場合(医療事故調査・支援センターから当該相談内容の伝達を受けた場合を含む。)は、病院は改めて医療事故該当性を判断し、その結果を遺族等に説明するものとする。
(報告の義務)
- 各診療科長等は、医療事故等が発生した場合は、別紙様式「状況報告書」により、病院長に報告する。
- 関係職員は、インシデント、想定外事象、死亡事例及び死産事例が発生した場合は、インシデントレポート報告システム等により、その内容を報告する。
- 死亡・死産事例については、医療事故該当性判断の要否を確認するため、全例を所定の方法により医療の質・安全管理部に報告するものとする。
- 遺族等から医療事故ではないかとの申出を受けた場合は、当該申出の内容及び対応経過を所定の方法により医療の質・安全管理部に報告するものとする。
(医療安全に関する記録の整備及び保存)
- 病院は、医療に係る安全管理に関する記録を整備するものとする。
- 前条までの記録には、次に掲げるものを含む。
一 インシデント報告、想定外報告、死亡・死産事例報告その他の事故報告に関する記録
二 死亡・死産事例のスクリーニング、レビュー、会議付議、医療事故該当性判断その他の検討過程に関する記録
三 医療事故該当性判断の結果及び理由に関する記録
四 医療事故調査・支援センター又は医療事故調査等支援団体への相談、支援要請及びこれらから得た助言に関する記録
五 遺族等からの申出への対応及び説明内容に関する記録
六 再発防止策の立案、実施、評価及び見直しに関する記録 - 前2条の記録は、その性質に応じて保存期間を別に定め、適切に保存するものとする。この場合において、法令、通知又は病院の他の規程等に保存期間の定めがあるものは、当該定めに従うものとする。
- インシデント報告・内部通報等の報告者は、開示されず不利益な取り扱いを行われることはない。
(職員研修の実施)
- 委員会は、安全管理のための基本的な考え方及び具体的な方策について、病院職員に周知・徹底を図るため、職員研修を実施するものとする。
- 病院長は、医療事故調査制度における医療事故該当性の判断、遺族への説明、医療事故調査、再発防止策の立案及び実施等に関わる管理者及び関係職員について、必要な研修を計画的に受講させ、又は実施するものとする。
(患者への情報提供)
- 本指針の内容を含め、患者との情報の共有に努めるとともに、患者等から、本指針の閲覧の申し出があった場合は、閲覧に供するものとする。
- 患者と医療従事者が対等な関係を保ち、検査や治療などの方針に関する意思決定を共同で行っていく。説明は、患者及び家族に理解されるよう分かり易い言葉を用いる。
(患者相談対応)
- 患者等からの苦情、相談に応じられる体制を確保するために、患者相談窓口を常設する。医療従事者等は、患者等からの相談に当たっては、迅速かつ適切に対応しなければならない。また、相談したことにより患者等に不利益が発生しないように配慮する。
- 患者相談窓口その他の部門は、遺族等から医療事故ではないかとの相談又は申出を受けた場合には、速やかに医療の質・安全管理部と情報共有し、病院として適切に対応するものとする。
(医療安全推進への対応)
- 高難度新規医療技術及び未承認新規医薬品等を用いた医療を提供する場合には、関係学会から示される「高難度新規医療技術の導入を検討するに当たっての基本的な考え方」その他のガイドライン等を参考に、別に定める手続に従って実施する。
- 高難度新規医療技術及び未承認新規医薬品等の取扱いに関し必要な事項は、別に定める。
(医療行為の院内資格制度)
- 病院職員に医療の知識・技術を習得させ、安全な医療を提供するため、医療行為の院内資格制度を設ける。
- 医療行為の院内資格制度に関し必要な事項は、別に定める。
(指針の周知)
- 本指針の内容は安全管理委員会等を通じて、病院職員に周知する。
(その他)
- この指針に定めるもののほか、必要な事項は、病院長が別に定める。

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